本制作で使用する「貝塚息吹」という名の木です。樹齢400年を超える大木だったのですが、残念なことに台風による強風に耐えられず倒れてしまいました。
貝塚息吹は、細めの幹が螺旋状に絡み合って成長します。したがって大きな量が取れないために彫刻材としては不向きです。
しかし、住職の発願にお答えすべく、この木を粉末にして漆に混ぜて造形する「乾漆」の技法を使用することで、仏像に生まれかわることが可能となりました。
本制作は「木芯乾漆造り」の技法で制作します。読んで字のごとく、木芯に乾漆を盛り付けて造形します。
木芯の制作は、木彫の場合と変わりなく進めていきますが、漆の盛り付ける量を見越してやや痩せ気味になるように思い切って彫りを進めます。
右画像は、すでに内刳りと割り首を済ませています。さらに彫り進めて木芯乾漆像の土台を造ります。
徐々に像の様子が現れてきました。
もう少し彫り進めた後、漆の工程に入ります。
漆の作業に入りました。カイズカイブキの木屎漆を盛り付けながら細部を成形していきます。
納入品とする貝塚息吹の板です。表面(画像右)に薬師如来の真言が、裏面(画像左)には造像の縁起が書かれています。
裏面の内容は 『平成十六年八月三十日台風十六号甚ダ烈シク 本堂御前ニ聳ル樹齢四百余年ノ貝塚息吹ガ倒ルモ 此処ニ薬師如来御像ト姿ヲ変ヘル 清林寺住職 寛親 副住職 寛済 発願』です。
画像左は納入品を底板に固定した状態です。像胎内で納入品が立つようにしています。書かれた真言が正面向きで、薬師如来の梵字「ベイ」が胸の位置にくるようにしました。このあと像底に底板を固定します。
本体の造形も少しずつ完成に近づいています。
今回の台座は、蝋型鋳造によって造った銅製にしました。重厚感たっぷりです。
台座に載せた状態です。左手に載せた薬壺が、かわいく輝いています。
さらに盛り付けて造形を仕上げ、全体に古色をつけました。